阿佐ヶ谷駅南口に700mもの長さの通りに240の店舗が連なる阿佐ヶ谷パールセンター商店街。北口には、イトーヨーカドーや西友などの大型ショッピングセンターがあるにもかかわらず、パールセンターは、活気ある商店街を保ち続けています。
阿佐ヶ谷パールセンターの歴史
大正11年(1922)に阿佐ヶ谷駅が開業。その年に関東大震災が発生し、住宅を失った人々が郊外に住宅地を求めましたが、ここ阿佐ヶ谷にも人が流入し始め、住宅街としての発展が始まりました。阿佐ヶ谷の住宅街としての発展と合わせて、阿佐ヶ谷駅南口に商店ができ始め、商店街としての原型ができ始めました。そして、戦前には120店舗もの商店が立ち並ぶまで発展しました。昭和初期には、「阿佐ヶ谷商栄会」という商店会があったようです。
昭和初期 | 昭和初期? |
このように、阿佐ヶ谷駅の南口の商店街は、戦前に大きく発展しました。しかしながら、太平洋戦争の激化により、空襲による延焼を防ぐ目的で、この一帯を更地にする建物疎開の命令が出され、商店街として発展した阿佐ヶ谷南口は、更地同然となってしまいました。
このような建物疎開をして更地になっている地域は、戦後、ヤミ市、露店、飲食店が集まりましたが、この阿佐ヶ谷南口にもヤミ市ができたようです。南口、北口の別は分かりませんが、戦後、阿佐ヶ谷駅周辺には270ほどの露店があったようです。
戦後、建物疎開地にヤミ市、飲食店ができた例としては、大井町の「東小路」が有名で、東小路は、当時の細い路地が入り組んでごちゃごちゃしたヤミ市構造の街並みが、そのまま残っています。それに対して、パールセンターは、もともと商店街だったからか、戦後、すぐ、商店も復帰し始めたため、ヤミ市構造の街並みは残らなかったようで、整然とした商店街として形成されたようです。
終戦直後 |
昭和28年頃 |
昭和26年(1951)には、パールセンターの通りの商店が集まり、「阿佐谷南本通商店会」を結成しました。今では想像つきませんが、それまでは、この商店街の通りは車両の通行もできたようですが、商店会が結成された翌年、車両通行止めにしたようです。その後、昭和35年(1960)に、「阿佐ヶ谷パールセンター商店街」と愛称が付けられました。阿佐ヶ谷には、今はありませんが、駅高架下に「阿佐ヶ谷ゴールド街」や、「阿佐ヶ谷ダイヤ街」など、宝石にちなんだ命名がなぜか多いです。
昭和28年 |
昭和49年 | 昭和49年 |
昭和37年(1962)には、アーケード化され、その後、平成11年(1999年)には、アーケードは掛け直され、2代目のアーケードになりました。このアーケードは、パール(真珠)にちなんで、あこや貝をモチーフにしています。とても豪華なアーケードです。
阿佐ヶ谷パールセンターの老舗
パールセンターは、アーケードのような設備もそうですが、入っている店舗も、ある程度新陳代謝しながら、現在まで活気を保っています。生活に必要なチェーン店ももちろん多く入っていますが、やはり、それだけではないのがパールセンターの魅力です。パールセンターの歴史は昭和初期からになりますが、大正、昭和から続いている古いお店もありますのでご紹介します。
・蒲重蒲鉾店
昭和11年創業のおでん種のお店。上の昭和49年の右の写真の左奥の方に「・・ぼこ・・」と見えますが、多分、蒲重蒲鉾店さんの看板だと思われます。
おでん種だけでなく、惣菜もたくさん扱っています。
持ち帰りだけでなく、お店のそばで食べることもできますし、食べ歩きをしたい時は、竹串を付けてくれます。
・とらや椿山
こちらは、阿佐ヶ谷駅が開業した年と同じ大正11年に創業した和菓子屋さんです。上の終戦直後の写真と、昭和28年の写真は、とらや椿山さんだと思われます。
・川口屋
こちらも、阿佐ヶ谷駅が開業した年と同じ大正11年創業の乾物屋さんです。この日はシャッターが降りていましたが、閉店情報はありませんので、たまたまお休みだったと思われます。
阿佐ヶ谷パールセンターの見どころ
まずは何と言っても、阿佐ヶ谷駅方面の入り口にあるモニュメントは豪華で、上に写真を掲載しましたが、特に下から見上げた円形の屋根は圧巻です。商店街に入って歩いていますと、チェーン店も多いのですが、古い商店街ですので、建物や看板をよく見ますと、古い建築、また、現在のお店と関係なく古いお店のではないかと考えられる看板などがあり、楽しめます。
下の写真、「7Days」というお店の建物ですが、良く見ると2階部分には、「松美園」という金文字看板が掲げられていたり、瓦のようなデザインが施されていたりします。「松美園」は2016年に閉店したようですが、昭和看板建築が、アーケードの下に隠れているのです。
そのほか、昭和レトロな風景が楽しめます。
下の「初美屋」と書かれた看板の両サイドには、「花王 ライオン 製品」、「紙製品、日用品」と書いてありますが、明らかに絨毯しか置いていません。
路地に、魚屋さんがあったり、フルーツ屋さんがあったり、東京の古き良き懐かしい商店街の風景も残っています。
そんな阿佐ヶ谷ですが、音楽の街でもありますので、ライブハウスの「LOFT」があります。
阿佐ヶ谷パールセンターのグルメ
商店街といえば、グルメ、食べ歩きですね。パールセンターにも色々あります。・稲毛屋
商店街側は、焼き鳥と鰻のテイクアウトのお店になっていて、側の路地を入ると食事のできるお店があります。・たいやき ともえ庵
たい焼きとかき氷のお店です。ここにしかないたい焼きで、「たい焼きの開き」というのがあります。文字通り魚の開きのように、たい焼きが開いた形で焼かれていて、皮が薄く、パリパリ食感です。ここでしか味わえません。
・和菓子 福吉
この主張しない清楚な佇まいが品を感じる和菓子屋さんです。このお店、アニメ「ゆゆ式」に登場していることでも知られています。お団子、大福、わらび餅、羊羹など。1個から販売していますので、食べ歩きに最適です。
阿佐ヶ谷パールセンターの地図、アクセス
阿佐ヶ谷のその他の商店街、飲み屋街
・阿佐ヶ谷スターロード
路地に小さな酒場が密集しています。阿佐ヶ谷という土地柄、生演奏が聴けるお店など、文化的なお店が多いのが特徴です。個性的な街並みを見て散策するだけでも楽しめます。
・阿佐ヶ谷一番街
阿佐ヶ谷の飲み屋街といえば、北口のスターロードかもしれませんが、南口にも飲み屋街があります。
・南阿佐ヶ谷すずらん通り商店街
パールセンター商店街と接続する150mほどの地域密着商店街。青梅街道に近ずくほど、昭和レトロな風景に変わっていく商店街です。
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