日暮里駅から御殿坂を抜け、夕やけだんだんに差し掛かる手前に、北に延びる長い参道があります。この参道の奥にあるのが延命院です。江戸切り絵図には「七面延命院」と記載があります。七面というのは、法華経の守護神「七面大明神」のことだそうです。
荒川区の史跡文化財の碑には、次のように延命院のことが書いてあります。
『七面大明神と延命院の大椎
日蓮宗の寺院で宝珠山と号する。開基は四代将軍徳川家綱の乳人三沢局(みさわのつぼね)。家綱出生の際に、安産を祈祷した慧照院(えしょういん)日長が、三沢局の信施を受け、甲州(山梨県)身延山の七面大明神を勧請。慶安元年(1648)、別当寺として延命院を開創したという。
七面大明神には、胎内に慶安3年(1650)、法寿院日命が願主となり、仏師弥兵衛の手で作られたことを記した銘文がある。秘仏とされ、七面堂に祀られている。これにちなんで、門前から宗林寺(台東区)方面に下る坂は七面坂と呼ばれる。
境内には、樹齢600年を超えると言われる大椎(都指定天然記念物)がある。』
日蓮宗の寺院で宝珠山と号する。開基は四代将軍徳川家綱の乳人三沢局(みさわのつぼね)。家綱出生の際に、安産を祈祷した慧照院(えしょういん)日長が、三沢局の信施を受け、甲州(山梨県)身延山の七面大明神を勧請。慶安元年(1648)、別当寺として延命院を開創したという。
七面大明神には、胎内に慶安3年(1650)、法寿院日命が願主となり、仏師弥兵衛の手で作られたことを記した銘文がある。秘仏とされ、七面堂に祀られている。これにちなんで、門前から宗林寺(台東区)方面に下る坂は七面坂と呼ばれる。
境内には、樹齢600年を超えると言われる大椎(都指定天然記念物)がある。』
東京都教育委員会の碑には、次のように記されています。
『延命院のシイ
延命院は慶安元年(1648)、慧照院日長上人の開山による宝珠山延命院と号す日蓮宗の寺院です。
天保7年(1836)開板の「江戸名所図会」巻五の「日暮里惣図(ひぐらしのさとそうず)」には、現在地と思われる位置にシイの姿が描かれています。延命院は七面大明神を祀る江戸庶民の祈願書でもあり、たくさんの人々が参詣に訪れたといわれ、境内にあるシイも当時から地域の人々に親しまれた老樹であることが伺われます。安政2年(1855)の江戸の大地震によって「江戸名所図会」に描かれた堂宇は倒壊してしまいましたが、延命院のシイは生き残り、現在に至るまで都市化の進む日暮里の姿を見つめ続けています。かつては、樹高16.2m、幹周り5.5mの巨樹でしたが、平成14年(2002)5月に幹内部の腐朽が原因で南側の大枝が崩落し、安全のため現在の樹形に保っています。』
『延命院のシイ
延命院は慶安元年(1648)、慧照院日長上人の開山による宝珠山延命院と号す日蓮宗の寺院です。
天保7年(1836)開板の「江戸名所図会」巻五の「日暮里惣図(ひぐらしのさとそうず)」には、現在地と思われる位置にシイの姿が描かれています。延命院は七面大明神を祀る江戸庶民の祈願書でもあり、たくさんの人々が参詣に訪れたといわれ、境内にあるシイも当時から地域の人々に親しまれた老樹であることが伺われます。安政2年(1855)の江戸の大地震によって「江戸名所図会」に描かれた堂宇は倒壊してしまいましたが、延命院のシイは生き残り、現在に至るまで都市化の進む日暮里の姿を見つめ続けています。かつては、樹高16.2m、幹周り5.5mの巨樹でしたが、平成14年(2002)5月に幹内部の腐朽が原因で南側の大枝が崩落し、安全のため現在の樹形に保っています。』
確かに、幹内部が崩落していますが、鉄骨のようなもので支えられています。これでまだ生きているのがすごいです。
上は、江戸名所図会に描かれている日暮里の様子です。真ん中にあるお堂が「七面宮」と書かれており、延命院です。この境内に大きな樹木が描かれていますが、これが、その大椎なのでしょうか。また、延命院脇に階段がありますが、これは、現在の夕やけだんだんの場所なのでしょうか。
また、この延命院は、延命院事件と呼ばれる一大スキャンダルの舞台になったお寺でもあります。江戸の寛政年間に住職であった日潤は、もともと歌舞伎役者であり、大変な男前だったそうです。その上、口も達者だったようで、女性信者がたくさんいたようです。そうなると、今でも宗教の教祖と信者というのは色々ありますが、やはり、その当時も色々なことになったようで、この日潤は、大勢の女性信者と関係を持ったようです。関係を持った女性が、庶民だけでなく、大名家、更には大奥の女中にまで及んでいたとのことです。江戸中で、話題となり、結局、日潤は、斬罪になったそうです。
そんな大スキャンダルが吾妻錦絵の「延命院日当話」に生々しく描かれています。
延命院の地図、アクセス
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