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2023年9月 山谷再訪
東京のドヤ街、山谷。といっても、山谷という地名は、昭和41年には消失しているし、今ではもうドヤ街としての役割も終えてる。そういうドヤ、簡易宿泊所は、海外の人や、若者の旅行者相手の宿に生まれ変わろうとしていて、町全体も変わっていくんだろう。
でも、ドヤ街、労働者の街であった風情は、まだまだ残っていて、そんな哀愁を帯びたこの街が好きだ。
前に訪れた時に、この街で散々呑んだ挙句に入った山酔。ドヤ街にあって、割烹のような趣のある酒場。あの時は、もうベロベロで、飲めない食べれない状態だったので、もう一回ちゃんと行ってみたかったので、また山谷を訪れた。
山酔に入る前に、途中の角打ち淀屋酒店にまず寄ってみた。
前に来た時は、平日の昼間だったので、人がいなかったのだけど、今日は平日の夜とあって、仕事帰りであろう人たちで賑わっていた。近所の会社に勤めてるであろう団体さんなんかがいて賑やかだ。
都内に角打ちは多く残っているけれど、都内の中心地にある角打ちとは、やっぱり風情が違う。飾りっけも何も無いし、ただ何でもない酒を何でもない乾き物をつまんで飲む。これだよなー、安く手軽に飲むためにあるんだよなー。オシャレには飲まない。
一杯だけ飲んで、気取らない安らぎを覚えて、山酔へ。
ドヤ街の真ん中とでもいうべき、簡易宿泊所に囲まれて山酔がある。お店に入ろうとすると、着物姿の女将さんが出て、あたりを見回してる。
そうだ、女将さん、きちんと着物を着こなしてるんだった。それがまた、この山酔にドヤ街にあってドヤ街ではないような格式を与えてるんだ。
あたりを見回して何をしてるのかとおもつしてるのかと思ったら、「今日は中秋の名月で、満月だから、月が見えるかなーと思ったんですけど見えないですね。」と。あぁ、こんな風情を楽しめる女将さんのいるお店。安らぐなぁ。
お店には、お客さん一人もいなかった。ゆっくり静かに飲みたいわたしにとっては、ありがたい。とはいえ、テキパキした女将さんが、わたしを孤独にさせない。
「お近くですか?」
「いえ、◯◯で、職場は◯◯で、近くじゃないんですけど、前に来たことがあったので、またゆっくり飲みたいなと思って来たんです。」
「あら、そうなんですかー。すいません、いつ頃ですかー?覚えてなくてー」
「いえ、いえ、そんな、、」
「最近は、インターネットで見て、こういう古いところに来てみたいって来る人とか、女性でも一人で来る人もいるんですよ。女性でもね、たくさん飲んだり食べたり、全然酔っ払わないで帰るんですよー」
「本当にお酒が好きなんでしょうね」
「この辺は、昔は労働者の街でね、朝からすごかったんですよ」
「朝からやってたんですか?」
「そうなんですよ。周りにも、うちみたいなお店がたくさんあったんですよ。みんな無くなっちゃったけど。」
「たしかに、歩いてると、それらしき看板の建物がありますよね。いつからやられてるんですか?」
「今の大将のお父さんの時から、もう60年以上。」
往時は、やっぱり賑やかだったんだな。
キス天と大関の熱燗。ひと注ぎめはお酌してくれた。ドヤ街の他の居酒屋ではあり得ないおもてなしだ。いや、他が悪いと言ってるわけではない。なんのお構いもなしというのもこの街にはあってるのだ。そんなこの街で、このおもてなし。
とんカツと、うずら玉子フライ。強面で寡黙な大将が、和洋、いろいろなメニューを作ってる。
一通り、料理を作ったら、寡黙な大将が、カウンターの中に。うわぁ、なんか緊張する。でも、テレビ見ながら、クスッと笑い、わたしに微笑みかけてくる。何をしゃべるわけでもなく。うん、これがまた、落ち着くんだな。
吉野通りの地図、アクセス
東京都台東区日本堤1〜2、清川2、東浅草1〜2、今戸2
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