吉原遊郭というとなぜか風流に感じられるが、今では吉原ソープランド街。ソープランド街と書いてしまうと、お下品な感じがしてしまうのでやめておこう。
そのかつての吉原遊郭の北西部の竜泉という地名。明治時代の小説家、樋口一葉が一時期住んでいたことで知られている。そして樋口一葉の名作「たけくらべ」は、この竜泉界隈から吉原遊郭が舞台となっている。
遊女になる運命の美登利と僧侶になる信如、少女、少年のすれ違う淡い恋模様を描いた「たけくらべ」。終盤、勝ち気で男勝りだった美登利が髪を大嶋田に結い、京人形のように美しく着飾ったところから、急におとなしくなる。なんとも切ない終わりを迎える「たけくらべ」。
今の吉原ソープランド街は、周囲からは隔絶されている感じだけれど、近代以降の吉原遊郭は地域に密着していたようすが、「たけくらべ」には描かれている。
龍泉寺は、そんな竜泉という地名のもとになったお寺。かつては龍泉寺村と呼ばれ、この一帯は龍泉寺の寺領だったというから、かなり大きな寺だったのだろう。
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江戸切絵図「今戸箕輪浅草絵図」(国立国会図書館デジタルコレクション) |
創建は詳しくは伝わっていないようだが、室町から戦国時代にかけて創建されたのでは無いかということだ。写真の通り、本堂は鉄筋コンクリートに生まれ変わっているが、境内にある石碑や石仏は、それなりに古いものが残っているようである。
宝暦や文久、文化など、江戸時代の年号が刻まれた石仏。その手前の石碑には「三浦屋」と刻まれている。
江戸時代、吉原遊郭でも大店であった妓楼に「三浦屋」というのがある。もしやその三浦屋の寄進なのだろうか。この石碑の年代等をよく見ずにきてしまった。今度、よく見ておこう。
境内の隅に石がゴロゴロ転がっている。角石とか丸石とか、何かの石碑の残骸かな。丸い石は力石とか?
龍泉寺の地図、アクセス
東京都台東区竜泉2−17−15
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