2019年5月1日水曜日

自得山 静勝寺|赤羽の住宅街の太田道灌ゆかりのお寺

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 JR赤羽駅西口を出て西に少々歩くと、そそり立つような武蔵野台地にぶつかります。この静勝寺は、その武蔵野台地の上にあります。台地の階段を上った上に木々が生い茂る様は、東京の住宅街にありながらにありながら、山寺のような静寂さを感じます。
 東側の階段脇には、「稲付城跡」と石柱が立っています。



 この静勝寺のあった場所は、室町時代から戦国時代に「稲付城」という砦が築かれていました。確かに、階段下から見上げると今でも要塞のように見えます。武蔵野台地という自然の地形を利用した砦だったのでしょう。北区教育委員会の説明板には、静勝寺南方面には、空堀が発掘されているようです。
 稲付城は、江戸城を築城したことで有名な太田道灌が築城したという説が有力だそうです。


 階段を登り切って、境内から赤羽の街が見えます。城砦ならではの見通しでしょうか。
 階段を登り切った側に石塁の遺構のようなものがあります。何の説明も書いてありませんので、何か分かりません。


 太田道灌の死後、永正元年(1504)に、道灌の禅の師匠・雲綱によって稲付城の一角に道灌を弔うためにお堂を建て「道灌寺」としたことが、お寺としての始まりのようです。
 その後、江戸時代に入り、明暦元年(1655)に、自得山・静勝寺に改められました。



 参道は緑豊かで、心地良いです。参道の奥には「道灌堂」があり、道灌堂には木造の太田道灌の坐像が安置されています。像は元禄8年(1695)に造立され、道灌堂は享保20年(1735)に建立されました。
 像は、道灌の命日の7月26日にちなんで毎月26日に開扉されています。
 本堂は、元禄7年(1694)に建立されました。当時の本堂は、現在の「辨天堂」で、明治6年に縮小されたものです。
 この辨天堂には、静勝寺の西側にあった亀ヶ池から出土した弁財天を祀っています。
 現在静勝寺西側にある亀ヶ池弁財天は、静勝寺の弁財天を勧進したものです。


 現在の本堂は、昭和3年に建立された立派な本堂です。




 都内でも珍しい木造瓦屋根の建築です。
 庫裏は、昭和12年建立です。本堂も庫裏も立派です。 



 天保5から7年(1834−1836)に編纂された「江戸名所図会」に江戸時代の静勝寺やその周辺が描かれています。
 今のように周囲に住宅街はありませんが、崖、階段、境内の様子は、今に通ずるものがあります。
 手前の大きな街道は、河口街道と書いてあります。現在の十条赤羽線でしょうか。十条赤羽線は、旧日光御成街道、旧岩槻街道と呼ばれますが、河口街道とも呼ばれていたのでしょうか。確かに川口方面への道ですから、そう呼ばれていたのでしょうか。
 崖を階段で上る様は、今と全く変わりありませんね。階段を登って門があるのも変わりませんが、この図会では、鐘楼門と記載されており、鐘の絵が描かれておりますので、現在とは異なります。
 本堂は、先にも記載しました通り建て替えられており、旧本堂は、縮小されて図会の観音堂辺りに移築されています。確かに得ずに描かれている本堂と、縮小移築された現在の辨天堂は似ています。
 図会に道灌堂が描かれておりませんが、同じ位置に描かれている「影堂」として描かれているのが道灌堂のようです。

江戸名所図会「静勝寺」

 室町時代の城塞から近世ではお寺になった静勝寺。東京の住宅街で、東京の歴史の奥深さに触れられるお寺です。

創建年代 永正元年(1504)
宗派   曹洞宗
本尊   釈迦如来

静勝寺の地図、アクセス


赤羽の歴史観光スポット
 赤羽というと、昼飲み、せんべろの街のイメージが強いですが、武蔵野台地の北東端という地形から、戦国の武将・太田道灌築城の稲付城がありました。そのような関係から、歴史散歩も楽しめる街なのです。
亀ヶ池辨財天
 東京都北区西赤羽1−29−17
 マンションに囲まれた弁財天。
 江戸時代、この一帯は大きな池だった、その名残です。
妙覚山 蓮華寺 普門院
 東京都北区西赤羽2−14−20
 鎌倉時代創建とされる歴史あるお寺。
 その境内には、チベットやインドを彷彿とさせる建築があふれる摩訶不思議ワールドです。
陀枳尼天社(道灌山稲荷社)
 東京都北区西赤羽2−14−20
 普門院前の小さな祠ですが、赤羽の歴史や文化を知ることができます。




赤羽グルメ(飲み屋、せんべろ)スポット
 赤羽と言えば、昼飲み、せんべろですね。
赤羽1番街
 商店街ではありますが、居酒屋も多くあります。


一番街シルクロード
 下町商店街的なアーケードの中は、ほとんど飲み屋さんです。
 お昼頃から大変な賑わいです。 



OK横丁
 迷路のような路地に居酒屋が密集しています。

明店街
 こちらも、居酒屋さんだらけの通りです。

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