北千住というか、千住と名の付くこの地域は本当に商店街が多い。研究家でもないので、なんで多いのか全く分かりませんが。
明光会のあるこの辺りは、千住遊郭があった地域で、その周囲に商店街がいくつかあるような地域なのです。大正１０年（１９２１）に、千住遊郭ができた頃、この辺りは田んぼだったそうです。
そんな田園地帯だったこの辺りに、商店街がいくつもできたのは、千住遊郭に人が集まるから、その遊客目当てに商店街が形成されたのか、それとも、戦前は労働者の集まる工業地帯、戦後は住宅街へと転換し、いずれにしても人が集まるから、商店街が形成されたのか。すみません、分かりません。
ただ、吉原の近くにある日の出会商店街がそうであったように、人里離れたところにできた遊里の近くは何もないですから、その遊里に必要なもの、妓楼への仕出し、遊郭に入る前に身なりを整えるための銭湯、散髪屋など、それ以外にも人が集まるわけですから、飲食店もできますよね。千住遊郭と無関係ということはないでしょう。
その千住遊郭の周りに、いろいろ商店街があるわけですが、その中でも、遊郭の大門につながる大門商店睦会や、当時の遊郭のメインストリートであった柳町仲通り電灯会などは、商店がほとんど無いどころか、多分、過去の商店は住宅に建て替えられているようで、商店街だったのかどうかすら分からなくなっています。
明光会も、住宅化が激しく進んでいるようですが、まだまだ商店が残っているのと、昔日の商店建築、看板建築が、まだまだ残っていて、昭和の商店街の姿、形を見ることができるのです。人はいませんが・・・昔は、ここに人通りがたくさんあったのかな。
銅製のモダンな街灯と、古い商店建築の相性がとても良く、美しい。しかし、商店でなくなった看板建築など必要性もないでしょうし、いずれ取り壊されてしまう運命にあるのか。この街並みをもったいない！なんて、そこで暮らしてもいない人から言われても、は？てな感じなんでしょうね・・・
西の方に行くにつれて商店街らしさ、商店街らしさの痕跡も薄くなり、突き当たりは少し小高い通り。その向こうに川でもあるのかなと思ったら、川はずっと向こう。そこの小高い通りは、墨堤通り。またあまり詳しくないですが、荒川堤という堤防があったんだと思います。だから、小高いんですね。
明光会の路地裏は、実は、とても味のある通りでありまして。
このトタンに覆われた物件、よく見ると、唐破風のような意匠の立派な玄関。飲食店か何かだったのでしょうか。唐破風の部分だけ見るとかなり立派で、ただならぬ雰囲気。二階部は元々あったのか、あとから増設したのか。バルコニー（という表現が適切なのか？）の感じなど、もう明日のジョーの世界。
唐破風玄関のある住宅は他にもありました。路地裏にも、飲食店が多くあったということなんでしょうか。
そして、路地裏を歩いていて、ついに発見！これもただならぬ雰囲気を持った建物。
柵や、波板で、玄関が不自然に隠されているのですが、空いているところを見ると、なんと曲線を描いた庇が！これはもしかしたら、カフェー建築かもしれません。
千住遊郭のメインストリートであった柳町仲通り電灯会や、千住遊郭の西南の外郭に当たる千住大門商店街など裏から表まで隅々まで歩いて何も見つけられませんでしたが、こんなところで思いがけず見つけてしまいました。
ただ、これだけ玄関を隠しているということは、ノスタルジックファンがジロジロ見ちゃうんでしょう・・・大変申し訳御座いません。
千住元町明光会の地図、アクセス
東京都足立区千住元町
千住遊郭（柳新地）の今 その他の記事
 | ①大門商店睦会 千住にあった遊郭、千住遊郭（柳新地）の大門につながる、千住遊郭のメインストリートにつながる商店街。過去には和変えたのかもしれませんが、今は、住宅街の合間に飲食店が少しある通り。 |
 | ②柳町仲通り電灯会 旧千住遊郭（柳新地）の大門から、目貫通りであった通りの商店街。いや、もう商店街とすら言えない寂れた通り。遊郭や赤線時代の遺構も何もない。ただ、商店街の南側は、昭和レトロな商店街の面影が残っています。 |
 | ③千住大門商店街 旧千住遊郭の東側の南端に沿った商店街。赤線が廃止されるまで、商店街の裏が歓楽街だったのです。今は、千住柳町界隈では、まだまだ活気のある下町商店街。 |
参考文献
赤線跡を歩く 木村聡（著）江戸・東京 色街入門 八木澤高明（著）花街・色街・艶な街 上村敏彦（著）
千住元町明光会 情報交換
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