2023年10月23日月曜日

千駄木奥地のおでん居酒屋 千の里|千駄木の横丁、すずらん通り【2023年10月】


 谷根千、谷中、根津、千駄木、言わずと知れた下町散策スポットとして、散策という枠を超えて観光地になった下町。昼間は、国内外の観光客でごった返している。が、夕方以降はその喧騒はパッタリとなくなり、日が暮れるとひっそりとしたものだ。


 千駄木の下町商店街よみせ通りも夜はひっそりとしたもので、ポツポツと居酒屋やバーの灯りがついている程度。歩いている人は、ほとんど帰宅途中の千駄木の人だろう。
 こんなところにある居酒屋は、一人静かに演歌でも聞きながら酒を飲みたいわたしには最高のロケーションなのだ。
 そして、ひっそりしたよみせ通りに、昭和レトロな横丁がある。すずらん通りだ。もう何年も前に通りかかって、ここで飲みたいと思っていた。


 よみせ通りから横丁への入り口には立派なアーチがかけられている。その奥には、昭和レトロな二階建ての長屋が連なっている。
 しかし、このすずらん通りのアーチ、以前は看板の中に電気がついていてライトアップしていたのだけど、電気が消えている・・・もしや!ここも再開発でもうやってないのか?とは言え、奥の方には酒場のほのかな灯りが見える。
 今日のお目当ては、そば処あかしやか、おでん千の里。どちらも、店構えから、昭和の歴史を醸し出し、ゆっくり一人静かに飲めそうなシブみを出している。


 あかしやの方は明かりはついているのだが、暖簾が出ていない。中から声は聞こえるので、思い切って引戸を開けようとしてみたが、やはり開かない。ならば、もう一つの候補の千の里へ。


 まぁ、このすずらん通り自体が戦後に作られたであろうような長屋続きなので、どこもいい風情なのだが、ほのかにあかりの灯る看板にいやされる。
 お店に入ると、お客さんおらず、女将さんがカウンターでテレビ見てた。急に入ってきた客に少し驚いた様子で無愛想にどうぞと。あぁ、女将さん無愛想でも、目的は一人で静かに飲むんだから、この方がいいのだ。と言い聞かせて、ビールを頼む。
 一杯目はお酌してくれた。少し安堵する。それでもやはり無愛想な女将さんは、無口におでんの前で皿を持って、「ボソボソと適当に入れますか?」というようなことを言っていたので、「あ、がんもと、ちくわぶと、、、」と、入れてもらった。


 一人静かに飲めるのはいいが、本当に一人で無愛想な女将さんの前で飲むのは辛いな・・・なんて思うのもつかの間、女将さんの方から「お勤めは、このあたりですか?」とたずねてきた。
 ああ嬉しい、いや嬉しくない一人静に飲めない、でも嬉しい。堰を切ったように会話が始まってしまった。このお店は、24年になるんだそうだ。古そうに見えて、意外にも平成組。以前、すずらん通りを通りかかって雰囲気のいいところなので、いつかこようと思っていたことを伝えると、古い通りだし、今は、若い人も飲まない人が増えたので、この通りも人通りが少なくてと。そうか、わたしにはそのシブさが魅力的なんだがな。
 ここの建物は、戦後にできたからどこも狭い2階建てばかりで、闇市をしていた人とか復員してきた人たちのために建てられたから古いんだよね。(おぉ、そういう話し大好き!)
「戦後ですか⁉︎古いですね!」「そう、昭和24年(27年?酔ってたので忘れてしまった)から。」
 千駄木のこのあたりにも闇市があっあのかと聞くと、東大前に闇市があったんだそうだ。大学の前にも闇市があったのか。
「日暮里の駅の近くにもあるでしょう、こういうところ。初音小路。あそこも、日暮里駅の坂のところにあった闇市を集めるためにね。今は飲み屋ばかりだけど、もとは、生活のお店とか入ってたみたい。」
「今は、このあたり外人ばっかりで、銀座(やなか銀座)だって昔は、魚屋さん、肉屋さんとか、生活のためのお店ばかりだったのに、今は観光向けの雑貨屋さんばかりでしょ。だから、夜になると人がぜんぜんいなくなるんだけど、昔は、これからの時間、仕事帰りに買い物して帰る人で、人通りがすごかったの。」
「最近じゃ、このあたりのお店も外人を入れたりしてるけど、わたしは外人がきらいでね。言葉通じないし。わたしは絶対入れない。」
「そういえば、鶯谷駅の降りたところにある焼き鳥屋さんの女将さんも、外人おいかえしてましたよ。」
「あら、そう。ささのやでしょ。あそこも古いんだよね。それこそ、戦前、戦後くらいからあるんじゃない。あそこは今でも土間でしょ。串の数で会計するから、昔はみんな串を土間に捨てるのよ(笑)」
「あのあたりも昔は賑やかでね、キャバレーが2軒くらいあって、ボーリング場もあったのよね。わたし、あのあたりの中学に通ってたんだけど、朝お店の前を通ると、ものすごい量の鶏肉をさばいてたから、昔からすごくお客さん多かったんだよ。」
 今の鶯谷は、ラブホテル街で、周りにはこつぶな居酒屋がある程度だが、かつては大きな繁華街だったんだな。あと、外人さんに対しては、なんだかある一定のお年の下町の方は、ちょっと偏見があるのかな。戦後の方だとは思うけど、下町は戦火で焼かれたわけだし、その後の世代でも、ご家族でいろいろあって苦労されたのかも。長い間、会津と長州に遺恨が残っていたのと同じ感情があるのかもしれないな。


 「そういえば、前に来た時にすずらん通りの看板にあかりが灯っていたのに、今日は消えていたので、再開発とかでこの通りが閉鎖されてるのかと思いました。」「そうでしょ、暗くなってるとよくないでしょ。電気がつかなくなっただけなんだけど、直そうっていう話が進まなくて。もう少し、この通りのお店で協力できればいいんだけど、まとまらなくて。」
 そうなのか、最初に行こうとしたお店はやってるのかよく分からなかったし、古いお店も多そうだからまとまらないのかな?
 とらいえ、この通りのお店のママさんらしき人など何人か差し入れに来たりしていて、お店同士、仲良さそうだ。若い人も顔出したりしていたので、新しめのお店の人たちも仲良くやってるんだろうな。


 千駄木の奥地、シブいすずらん通りにも、こんな異色を放つ新しいお店もできている。新陳代謝を繰り返して、このすずらん通りに味を添えて、このままあり続けてほしいものだ。
 お店に、ご年配の男性が入ってきた。何も言わず入ってきたので、店主なのかなと思いきや、カウンターの奥に座り、酒を飲んでいた。何もいう必要もなくいつも来て、いつもの酒を飲んでいつものおでんを食べるのだろう。
 冒頭で、女将さんのことを無愛想と書いて申し訳ない。そんなことありません。

食べたもの

アサヒスーパードライ 2本
おでん(大根、がんも、ちくわぶ、ごぼう揚げ)
ひじきの煮物、唐揚げ(お通し?)
〆て2,400円くらいだったと思う。


の里の地図、アクセス

東京都文京区千駄木3−44−1



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