十条といえば、巨大なアーケード商店街、十条銀座商店街のある埼京線側の十条は、メディアでもよく紹介されるが、こちらは京浜東北線側の東十条。十条じゃない方。じゃない方ではあるけれど、東十条駅前には東十条商店街があり、いまだに大賑わいだ。
そして、十条には酒屋から戦後、酒場になり、今でも老舗酒場としていぶし銀の存在感を放つ斎藤酒場がある。そう、十条界隈には、こういったローカルな風情ある良酒場がちらほら残っているのだ。
それは東十条も同じ。日暮時に歩いてみると、ポツポツと個性豊かなローカル酒場に灯りがともり始める。
吉田類の酒場放浪記によれば、ここ杯一は昭和47年(1972)の創業。日本がとっても元気だった頃だ。その日本の働く人たちを下支えした酒場のひとつなんだろうな。ベニヤ板の壁、コの字カウンターの店内が、その歴史を物語っている。
ただ、つくりは古いんだろうが、カウンターなんかはピカピカに磨き上げられていて、とても清潔感がある。これは、お店の人たちが女性ばかりだからなのだろうか。なんて言うと今の時代、「性別は関係ないのだ」なんて言われるのかも知れないのだけど。
でも、やっぱり女性らしい優しさが漂っているのだからしょうがない。
だいいち、私がお店に入って、多いメニューに戸惑ってキョロキョロして決めかねていると、「おでんありますよ」と優しく声をかけてくれる。普通、こういった酒場では、放ったらかされる場合が多いのだから。
そんな柔和なお店には、おそらく地元の人たちだと思われる常連さんが集う。
私の隣には、ご高齢のじい様が若い(じい様よりは)女性と飲んでたんだが、じい様、今日はかなり張り切っていたようだ。お相手の女性が帰ってからは、張り切っていたじい様は、カウンターに突っ伏して寝てしまった。そんな姿を見て、常連さんが「今日は張り切ってたんだねぇ」といじられている。
今日は来ていないお客さんが、この前、どこで何していたとか井戸端会議も始まる。田舎の親戚の家で酒飲んでいるようだ。
常連ではない私などは全く話題には入れず、聞いているだけなんだが、ここは本当に東京なんだろうかと不思議なほのぼのとした気分になるのだ。
でも、対面に座っていた強面の御仁が最近亡くなった八代亜紀の話をし始めた。
アメリカのブルースとは全く違う日本演歌界のブルース。八代亜紀の哀愁漂うブルージーな演歌は、日本のおじさんの胸を掴んで離さない。私も年を重ねるうちに八代亜紀の歌声に胸が沁みるようになっていたのだし、その八代亜紀の逝去には驚かされた。
いつの間にか、その対面の強面の御仁と八代亜紀について話し始めていただのだった。
食べたもの
サッポロ黒ラベル大瓶 600円
ハイボール 350円
レモンサワー 400円
おでん(3個) 400円
マカロニサラダ 400円
こまい 450円
ささみと水菜のあえもの(わさび和え) 350円
杯一の地図、アクセス
東京都北区東十条4−2−14
杯一 情報交換
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