2019年4月8日月曜日

地蔵坂|神楽坂の今は閑静な住宅街、昔は繁華街だった坂道[東京マップ]

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 飯田橋から神楽坂を登り、善国寺を過ぎて一本目の南の路地が地蔵坂です。神楽坂からの入り口には、少し飲食店もありますが、すぐそのような喧騒はなくなり、閑静な住宅街になります。


蔵坂の芸能街としての歴史

 この坂を登ったところにある光照寺に子安地蔵があり、江戸時代は、安産にご利益があると参詣者が多かったようです。このことから、この通りは地蔵坂と呼ばれるようになったようです。

光照寺

 この通りは、信仰もそうですが、明治以降、神楽坂が山の手銀座として賑わった頃から、文化的な通りとしても発展します。
 江戸時代、この通りは藁店(わらだな)という藁を扱うお店がありました。神楽坂下の神楽河岸で荷揚げされた荷物を運ぶ馬に履かせる藁を扱うお店だったようです。それに因んで、この通りは、藁坂、わら店横町などとも呼ばれていたようです。
 下の切絵図で、見づらいかもしれませんが、光照院の門前の道に「藁店ト云」と書いています。

市ヶ谷牛込絵図

 それだけでしたら、ただの商業地として賑わっていたことになりますが、この藁坂で、文政年間には牛込藁店亭というものがあり、都々逸扇歌などの興行が行われていたようです。明治に入って、藁店・笑楽亭と名前を変え、その後、和良店(わらだな)亭となり、落語が行われるようになりました。藁店に因んで和良店なのか、藁店でやっていたから和良店なのか、分かりません・・神楽坂にも近い新宿の喜久井町に住んでいた夏目漱石は、落語が好きで、この和良店亭に良く通っていたそうです。夏目漱石の作品「それから」には、藁店として、この坂が登場します。
 和良店があった辺りは、大正に入ってから牛込館という映画館が出来たようです。ここには黒澤明監督も通ったようです。
 この地蔵坂もそうですが、神楽坂界隈は、以前は、寄席や、映画館が複数あったようです。
 今は、閑静な住宅街ですが、寄席や映画館があり、文化人も集まる歓楽街だったようです。

・地蔵坂と文学・・・林芙美子

 戦前、定職につくことができず貧民街を渡りあるいた女性作家、林芙美子という人がいました。その林芙美子が自身の放浪生活の日記をもとにした「放浪記」に、藁店が出てきます。
 「神楽坂に夜店を出しに行く。藁店の床屋さんから雨戸を借りて、鯛焼き屋の横に店をひろげる。」
 地蔵坂に、「HAIRSALON MORIWAKI」という床屋さんが現在あるのですが、もしやそこで雨戸を借りたのか?分かりませんが。藁店で雨戸を借りて、神楽坂で夜店を出したのか、藁店(地蔵坂)で夜店を出したのかも分かりませんが、戦前は、このあたりに夜店が出ていたんですね。今では考えられません。


蔵坂の地図、アクセス

東京都新宿区神楽坂5丁目〜東京都新宿区袋町
 



楽坂、その他の通り、路地

 神楽坂には、無数の路地がああり、それぞれ歴史があります。そして、それぞれの路地には、かつて芸者さんがたくさんいました。芸者さんは、京都だけではないのです。かつての花街華やかりし頃にちなんだ通りがたくさんあります。神楽坂散策のご参考にして下さい。(五十音順)

神楽小路
 神楽坂下からすぐの路地です。


神楽坂通り
 神楽坂のメインストリート。
 地元の古い商店から、おしゃれなグルメなどいろいろ楽しめる通りです。
 ここから様々な路地が分岐しています。


神楽坂仲通り
 数少ない料亭のある通りです。
 かつては、この通りも料亭が軒を連ねていたようです。

かくれんぼ横丁
 本多横丁と神楽坂仲通りを結ぶ路地です。
 その名のとおり、ひょいと路地に入ると見失ってしまうくらい細く入り組んだ路地です。
 ここでお忍びで芸者遊びをしていたのでしょう。

芸者新路
 かつては、見番、置屋、待合が軒を連ねていた通りなので芸者新路という名前です。
 しかしながら、今は一軒もありません。飲食店があるのみです。

見番横丁
 見番(芸者を手配する場所)があることから付けられた名前。
 今でも芸者を手配する東京神楽坂組合があります。
 以前は、神楽坂界隈に見番はいくつかあったのだろうと思います。

兵庫横丁
 神楽坂の中でも江戸情緒が楽しめる石畳の細い路地です。
 今では数少くなった料亭や、有名な作家の多く泊まった旧旅館などがあります。

紅小路
 本多横丁から分岐する路地です。
 老舗の飲食店などがあります。

本多横丁
 横丁という名前ですが、神楽坂界隈ではそれなりに大きな通りです。
 江戸時代には本多修理屋敷脇横丁と呼ばれていた古い通りです。
 この本多横丁からはいくつもの路地があります。

見返し横丁
 本多横丁から分岐する路地です。
 スナック、飲食店のある短い路地です。


見返り横丁
 本多横丁から分岐する路地です。
 今では少なくなった料亭がある短い路地です。

みちくさ横丁
 神楽小路から分岐する路地です。
 神楽坂界隈では珍しい、昭和レトロ横丁です。


楽坂観光-------寺社巡り


・鎮護山 善國寺
 江戸山毘沙門天の一つ。狛犬ならぬ、狛虎がいます。
 江戸から明治にかけては縁日で賑わい、神楽坂が繁華街となった要因の一つです。



・樹王山 正覚院 光照寺
 戦国時代の牛込城址に建てられたお寺です。


蔵坂 情報交換


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